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HSIのよもやま話~確認事項(衛生設備編)~

皆さんこんにちは。

 

さて今回は

~確認事項(衛生設備編)~

ということで、衛生設備工事における着工前に必ず押さえておくべき事前確認項目を深く掘り下げて解説します。

 

水を「正しく」流すために、着工前に必ず見ておくべきこと

トイレ、洗面台、キッチン、浴室など、人が快適に暮らすために欠かせない「衛生設備」。
その配管や給水・排水の設備工事は、建物の基盤を支える“インフラ中のインフラ”といっても過言ではありません。

しかし、衛生設備工事の失敗は表に出にくく、完成後に問題が起こると大きな補修・再工事が必要になるため、
「事前確認」が極めて重要な工程となります。


✅ 衛生設備工事とは?

衛生設備工事とは、以下のような工事を指します:

  • 給水設備工事(上水道)

  • 排水設備工事(下水道・汚水・雑排水)

  • 給湯設備工事(ボイラー・電気温水器)

  • 衛生器具取付工事(便器・洗面台・浴槽・シャワー)

これらは、建築工事の工程において設計・構造・内装と密接に関わるため、
施工前の確認がそのまま工事の“良し悪し”に直結します。


✅ 衛生設備工事の事前確認項目【5つの主要視点】


①【設計図・仕様書との整合性確認】

🔹 設計図通りに配管できるかをチェック

  • 給水・排水の立面図と平面図の整合確認

  • 衛生器具の位置・高さ・種類・数量の確認

  • 他設備(電気・空調・建築構造)との干渉の有無

📌 特に梁下・壁貫通・床開口部の寸法と位置は、設計図だけでは見落とされがち。
現場との“実寸”確認が必須です。


②【配管経路・貫通部の事前確認】

🔹 配管ルートは最短で合理的か?

  • 垂直・水平配管のルート、スリーブの設置状況

  • 天井裏・床下のスペースの余裕確認

  • 貫通部(壁・床・梁)の補強材・防火区画処理の要否

📌 コンクリート打設後に変更が効かないため、開口位置と寸法の現場確認は着工前に必須です。


③【給水・排水のバランスと接続先確認】

🔹 水が流れ、戻らず、漏れない構造か?

  • 給水管・給湯管の圧力バランス(高圧=ウォーターハンマーの可能性)

  • 排水管の勾配(1/50〜1/100)、曲がりの回数

  • トラップ(封水)・通気管(ベンチレーター)の設置確認

  • 最終的な排水接続先(公共下水・浄化槽)の確認

📌 施工ミスによる逆流や悪臭、漏水はクレームのもと
勾配不足や通気管不設置は「施工者責任」になるケースもあります。


④【資材・機器・配管の搬入・保管・使用確認】

🔹 適切な資材を、適切に扱えるか?

  • 衛生器具の発注・納期・仮置きスペースの確保

  • 配管材(塩ビ管、銅管、架橋ポリ管など)の寸法・数量チェック

  • 接続材料(継手、シール材など)のメーカー指定品の遵守

📌 特にユニットバス・便器・手洗器などは、納期が遅れると工程全体が遅延します。


⑤【法令・条例・保健所対応の確認】

🔹 施工条件に適合するか?

  • 建築基準法・水道法・下水道法などの遵守

  • 地域の建築指導課・保健所の認可条件の確認

  • 公共管接続には事前の申請・検査手続きが必要な場合も

📌 法令違反・未届けの施工は検査不合格や営業停止のリスクも。
特に店舗や飲食店の衛生設備には保健所基準のクリアが必要不可欠です。


✅ 施工前の「立ち会い確認」がカギ

着工前には、関係者(現場監督、設備業者、設計者など)で「現場立ち会い確認」を実施することがベストです。

  • 配管ルート・スリーブ・機器取付位置の再確認

  • 変更点があればその場で合意・修正

  • 記録写真やチェックリストの作成で責任の明確化


✅ よくあるトラブル事例とその防止策

トラブル内容 原因 防止策
排水が逆流した 勾配不足・通気不良 勾配1/50以上、通気管の設計確認
衛生器具が入らない 搬入経路の不確認 搬入口・間口・階段幅を事前確認
水漏れ・結露 継手の施工不良・断熱不足 水圧試験と保温工事の徹底
検査に通らない 保健所基準の未確認 事前協議・申請・構造図の提示

✅ 衛生設備工事の成否は「準備力」で決まる

衛生設備は、見えないからこそ“間違えが許されない”設備工事です。
水は一度流れ出すと、あとから止めるのが困難なため、事前の徹底的な確認が何よりも重要です。

そのためには

✅ 設計図との整合性チェック
✅ 配管・スリーブ・器具設置の詳細確認
✅ 給排水バランスと通気構造の検証
✅ 資材と施工体制の整備
✅ 法令・地域条例の遵守と手続き確認

これらを“丁寧に、早めに”行うことが、無事故・高品質な衛生設備工事の第一歩です。

 

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